ノルウェイの森読書中

文庫本の上巻を読み終わったところ。

僕にとってのこの本の魅力の一つは,物語中に登場する人物の生活が生々しく感じられるところにある。特に"僕"は早稲田大学の学生だ。僕が授業に出てみると、小さな教室の先頭の端につまらない顔をして"僕"が座っていそうに感じる。最初の頃こそ不思議な存在だった直子も上巻の終わりの頃には普通の(現実でいえば普通ではないが)ねじれた人になっている。風景描写がわかりやすく現実的だ。

さて、ノルウェイの森はあとは物語は終わりへ向けて、直子の死やいろいろな事がどうしようもなく進んでいくのだろうな。僕は何とも言えない空虚や喪失を感じながら読み進めていく。

そういえば、現実の話でも、本の中の話でもすでに終わってしまった物語を後から追うの時には、いつもなんというか物悲しさを感じる。どんなにすごい人も、すばらしい物語も、それが存在したか存在しないかに関わらず僕のいる今の時間は否応なく流れていくからかもしれない。

ノルウェイの森〈上〉 (講談社文庫)
村上 春樹
講談社 (1991/04)
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おすすめ度の平均: 4.5
5 読むほどに深く理解できる作品です。
5 美しい本
5 究極の恋愛小説だと思う